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厨黒 - ちゅうくろ -

"厨"ニ病に冒された男が"黒"歴史を綴る、そんなブログ。

MÚSECAというゲーム



 コナミアミューズメントが提供するブランド、「BEMANI」シリーズにMÚSECA(ミュゼカ)という音楽ゲームがある。こちらはいわゆるアーケードゲームであり、全国のアミューズメント施設、一般的にいうゲームセンターなどで遊ぶことができる。

 このMÚSECAだが、どうも色々と物議を醸し出しているらしい。ので、今回はその方面で記事を書いてみようと思う。


◆MÚSECAとは何か?


 2015年6月4日に発表された、当時のBEMANIシリーズの最新作。音楽とイラストを掛け合わせた新感覚のゲームとして打ち出された。発表されてから東京や名古屋、福岡などかなり遠方まで合わせて5回に及ぶロケテストを行い、ユーザーの声を取り入れてきた。

 ゲームのルールは5つのスピナーと呼ばれるデバイスを音楽に合わせて、叩いたり回したりし、クリアしていくというもの。

 また、このゲーム固有の特色としてGrafica(グラフィカ)と呼ばれるイラストを使用することにより、様々な追加効果を得られるという当時のBEMANIシリーズではなかった要素があった。

 しかし、最初のロケテストの際に、早速問題点が持ち上げられてしまう。

 それまでの音楽ゲームというものはアクションゲームや格闘ゲームのように、プレイヤー自身のスキルが重視される実力主義のゲームといえた。しかし、前述のGraficaはそれに反する要素だった。

 従来の音楽ゲームでもオプションとしてスピードを調整したり、画面表示を切り替えたりといったものはあった。だが、このGraficaは何と、ものによってはスコアが変動するといったものもあり、当時のロケテスト報告で酷いバッシングを受けていた。

 それだけに留まらず、Graficaを入手するには、ソーシャルゲームなどではお馴染みとなっているガチャのような要素で、追加課金によってランダムで入手する方式であることが判明。この反響はとても大きく、「実力が不要」「スコアは課金次第」といった悪評が瞬く間に広がる。

 補足するならば、従来のBEMANIシリーズでもこういった追加課金システムというものは導入されている。例えばpop'n musicシリーズのポップンカード、jubeatシリーズのjBox、SOUND VOLTEXのジェネシスカードなどが上げられる。

 いわゆるコレクション要素でもあり、これらによってある程度ゲームを優位に進められることもできるので、活用するプレイヤーもいただろう。だが、前例はあるものの、これまでの音楽ゲームプレイヤーたちからは受け入れがたいという意見が飛び交っていたのか、ロケテストの際に実装されていた追加課金ガチャは撤廃されることとなった。

 だが、一度広まってしまった悪評は収まることはなく、不穏な空気のままMÚSECAは本稼動へと向かっていった。


◆MÚSECA始動


 同年12月10日、MÚSECAはロケテストで得られたユーザー達からの意見を取り入れて正式稼動となった。しかし、罵倒に近い悪評は残ったままで、このゲームのキャッチコピーである「ついて、きて」を揶揄され、「ついて、これない」などという声も上がっていたほど。

 ロケテストと違い、今度は全国のプレイヤーの目に触れるようになり、それによりまた新たな問題点がいくつも指摘されていく。
 
 例えば、ゲームを開始して楽曲を選ぶ選曲画面。画面いっぱいに楽曲をイメージしたジャケットが表示されるが、表示のされ方がキチンとした整列ではなく、ジグザグで並んでおり、非常に見辛い。

 続いて、このゲームの目玉でもあるGrafica。楽曲を選んだ後に続いて使用するGraficaを選んでいくわけだが、この画面もまた見辛い。何といっても情報量が多い。Graficaのセット、新しいGraficaの創成、Graficaの復元・深化といった操作を要求される。

 ゲーム内でしか使われない専門用語もやたらと多く、またGraficaの能力もどれがどのようなものなのかがパッと見で理解できない。率直に何をしていいのか分からない状態に放り込まれる。

 そうしてようやく音楽ゲームのメインである演奏画面に移ると、ここでまた多くのプレイヤーが不満を訴えたものがあった。

 おおよそ、音楽ゲームのほとんどは音楽がバックに流れているところを、画面上に動くオブジェクトを音楽に合わせてアクションを起こすものだろう。そして、大概の音楽ゲームはオブジェクトを見失わないように黒い背景に目立つ色のオブジェクトを用いる。

 しかし、MÚSECAの演奏する画面は白背景。流れてくるオブジェクトも青や黄色。これだけでかなり見辛い。さらに、オブジェクトが流れてくるレーンが不規則にカーブを描き、オブジェクトをとらえるラインもジグザグな形状となっていて、視認性の面で難があった。

 見辛いオブジェクト、見辛いレーン、タイミングの分かりづらい判定ライン。斬新なデザインを意図していたにしても、従来の「BEMANI」シリーズとは大きくかけ離れたものだったことは間違いないだろう。

 補足として、「BEMANI」シリーズのSOUND VOLTEXシリーズでは、操作によって画面が傾いたり、時には画面そのものが回転する演出もあり、他社の音楽ゲームだがGROOVE COASTERシリーズなどでも、画面自体がジェットコースターのように動き回るものもある。

 演奏画面の演出自体が前代未聞のものだった、というところはない。

 しかし、音楽ゲームとして致命的な視認性の悪さは悪評に拍車をかけた。簡単にまとめはしたが、ここまでまとめたもの以外でも不満として列挙されるものはまだまだある。

 かくして、MÚSECAは発表されてから間もなくバッシングを受け、正式に稼動してからも出鼻をくじかれるという、なんとも不遇な扱いを受けることとなってしまった。


◆MÚSECAの改善と評価


 それはあまりにも酷いと目を見張るものがあったのか、稼動から早い段階で様々な改良が行われてきた。しかし、それだけでは足りないと判断してか、MÚSECAの公式Twitter上でも、ユーザーの声を取り入れる企画が行われるようになった。

 これにより、ユーザーたちの沢山の要望が一層取り込まれ、また開発側の精力的な活動により、次々と実装されていった。その数は短期間にして数十にも及び、稼動初期のものと比べると随分と快適になった。

 それでもこれまでの悪評は絶えることがなく、「課金したら有利」「実力関係なく金持ちが有利」といった揶揄も拭われなかった。

 尚、MÚSECAでは前述の通り、課金要素は撤廃されており、Graficaの入手方法は稼動開始された時点で、ゲームプレー中に獲得できるポイントを消費することでランダムに入手するという方式である。

 また、スコアが変動する要素はあるものの、判定などに影響するものはなく、CRITICAL RATEという、かいつまんでいえば、どれだけ上手にプレーできたかの指標がある。これはGraficaによる影響も受けないため、「課金したら有利」や「実力関係なく金持ちが有利」などといったことは一切ない

 公式で行われた全国大会でも、使用されるGraficaは全プレイヤーは共通のものを使用することになっており、プレイヤーによって不公平になることもなかった

 Graficaという要素に対する不信感は頻繁に取り沙汰にされるが、Grafica自体は何もスコアに影響するだけのものではない。

 例えばライフ制への介入。音楽ゲームというシステム上、失敗をすればライフが削れていき、空になればゲームオーバーとなるが、このライフを回復させたり、また最大値を増やすといった効果を持つGraficaもある。

 また、補助するばかりではなく、リスクとして、逆にライフが減りやすくなったり、カーブが強くなったり、流れるオブジェクトのスピードが変動するものもある。

 プレイヤーによって、様々なプレースタイルの選択肢を設けることができる要素が、本来のGraficaのあるべき姿だろう。そういう側面で見れば、Graficaは従来の音楽ゲームにさらに自由度を与えた革新的なものともいえる。

 しかし、最初のロケテスト時の不評がたたり、ゲームセンターでも定着していかなかったのか、早くもMÚSECAが撤去されていくという話をよく目にするようになった。ここまでくると、悪評を鵜呑みにされすぎて、本質的なゲームの面白ささえも否定されているようだった。

 勘違いしてはいけないこと。MÚSECAというゲームは、けしてつまらないゲームではない。馴染み深い「BEMANI」シリーズとは少し異なるものだったというだけの話。風当たりが強かっただけなのだ。


◆生まれ変わるMÚSECA


 悪評を抱え込むMÚSECAが稼動開始して早4ヶ月ほど経った頃、Twitterでユーザーから集めた要望を消化して、大分落ち着いてきたある日、MÚSECAの大型アップデートの告知がされる。

 人気の低迷化を危惧しての一手か、そこには不安もあり、期待もあり、色々なものが大きく渦巻いていたように思う。既に駄作のレッテルが張り付いたMÚSECAに変化があれば、と願う声も少なくはなかったはずだ。

 告知がされてからおよそ3ヶ月。稼動開始してから7ヶ月目になる2016年の7月27日にその大型アップデートは行われた。この日、MÚSECAというゲームは大きく変貌したといっても過言ではない。



 約15分にも及ぶ、「BEMANI」シリーズではおそらく前代未聞の紹介PVも公開され、MÚSECAはMÚSECA改めMÚSECA 1+1/2(イチトニブンノイチ)へとバージョンアップとなった。

 紹介PVの中では「BEMANI」シリーズでもお馴染みの顔ぶれの作曲家が勢ぞろいで面白おかしくMÚSECA 1+1/2について何処が変わったのか、どう新しくなったのかを語り明かしていた。

 元より、「BEMANI」シリーズは毎週水曜日に公式ファンサイトにて、BEMANI生放送というネットラジオをやっており、こういった情報の配信自体は極めて頻繁に行われていたが、今回のような紹介PVは今までなかったといってもいい。

 お笑い芸人よろしく漫才のようなやり取りをしたり、一言二言添えてちょっと紹介したり、音楽ゲームイベントの告知PVなどはあったが、一つのゲームに対してここまで取り上げた紹介PVはほぼ前例がなかった。

 そして、その内容というものも驚きだった。

 それはMÚSECAのコンセプトでもあるGraficaのシステムの大幅な変更。悪評の根源となってしまっていた、Graficaからゲームに影響する要素が全て撤廃された

 スコアが変動することもないし、ライフも影響しないし、突然カーブが強くなったり、スピードが変化したりなども一切ない。音楽ゲームとして楽しむ上では演奏画面を飾る、単なるコレクション要素へと落ち着いた。

 口で言うのは簡単なことだが、ゲームシステムの根幹に関わるその要素を、そっくりそのまま削除してしまうその英断。確かにMÚSECAはGraficaがゲームに影響するという面で大きなバッシングを受けていたことは紛れもない事実だが、誰がここまでやると予想できたか。


◆MÚSECAとGraficaの違うアプローチ


 あふれんばかりの専門用語もキレイさっぱり消えてなくなり、MÚSECAは文字通り生まれ変わった。当たり前の音楽ゲームとして楽しむことのできる、シンプルなものになっていた。

 Graficaだけの改善だけに留まらず、MÚSECAの不満という不満の要素も駆逐するかのごとく、あれもこれもと潰されて、これまでのMÚSECAとは一体なんだったのかと言わんばかり。本気の対応というものを目の当たりにした気がした。

 従来はポイントを稼いでランダムで入手する形式だったGraficaも、プレイヤーの意思で自由に好きな順番に入手できるようになり、コレクション要素がより楽しい方向で色濃くなった。それも楽曲を遊ぶモードとは別のモードとして設けられ、Graficaがなければ困るといったこともないので、プレイヤーは好きなように遊べる。

 このGraficaを入手するモードがまた面白く、お題の楽曲をプレーしていけば徐々にモノクロだった背景に彩りがついて一枚のイラストに仕上がっていく。さらにGraficaをセットしていればより早く完成していく。

 これまであったGraficaに対する不満は、ゲームの根幹と切っても切れない関係にあったこと。それをGraficaを入手するための別のモードとして区分けしたことにより、違うゲームとして楽しめるようになったので、不満が解消されたといってもいいだろう。

 さらにはGraficaにはMEDEL(愛でる)という要素も実装され、使えば使うほどEXPを獲得し、このMEDELが上昇していき、Graficaの能力値が上がっていく。それによってまた新しいGraficaの入手に役立っていく。

 遊べば遊ぶほど、お気に入りのGraficaを愛でれば愛でるほど、新しいGraficaが簡単に手に入るようになる。従来のMÚSECAに単純にこのMEDELの要素を組み込んだだけでは、この楽しみ方はなかった。むしろより不満の声を高めていたに違いない。

 音楽ゲームとイラストを違うアプローチで絡めた結果だ。


◆MÚSECAの評価の揺らぎ


 さて、MÚSECAというゲームは全く違うゲームになった。これによってユーザー達からは「神ゲーになった」「凄い良くなった」という声も聞こえるようになった。間違いなく、大型アップデートはMÚSECAを良い方向で大きく変化させてくれただろう。

 しかし、MÚSECAがここに至るまでに蔓延させてきた悪評の渦もそのまま跡形もなく消える、とまではいかず、未だにMÚSECAを良くないものとする風潮は残ったままだ。

 改善すべきところも改善したとはいえ、全ての不満を払拭というのは難しい話。さらには、折角大型アップデートが来たというのに、既に近場のゲームセンターからは撤去された後で触れる機会がなくなっていた、という手遅れのパターンもよく聞く。

 以前よりも格段によくなったとしても、結局のところ、これまで引きずってきたものをなかったことにすることはできないし、人気や評判で商売している店舗側からしても、悪評のこびりついたものをいつまでも店に置いておくのを躊躇われるのは至極当然の話だ。

 事実、大型アップデートがされてからも、撤去されている報告は相次いでいる。同じ「BEMANI」シリーズの機種でも人気機種と比較すると、全国規模でその人気機種の台数のおよそ半分くらいまで数が減らされているという話もある。

 どんなに良くなったとしても、触れる機会がないのであれば、誰かの評判を聞くことしかできないし、仮に触れる機会があったとしても、全ての人にとって楽しいゲームであるという保証もない。現状として、MÚSECAというゲームは賛否両論が分かれている。

 MÚSECAは大型アップデートをしてからもなお、これまでのように小さな改善を続けている。それが何処まで影響するのか、しないのか。定かではない。


◆MÚSECAの外野


 ここまでMÚSECAについてのみを語ってきたが、結論として、MÚSECAは最初期の悪評を引きずったまま、それが今も尾を引いているのが現状と思う。

 そこに、MÚSECAを見直すユーザーやMÚSECAを新しく取り入れてくれるゲームセンターの増加などの希望的観測はある。ただ、これはMÚSECA単体だけの問題ではない可能性も考えられる。

 というのも、そもそもの「BEMANI」シリーズは既におよそ20年ほど続いている長寿のシリーズであり、現役の機種だけでも10機種ほど全国のゲームセンターにて稼動している。

 悪い言い方をすれば、音楽ゲームの殿様商売のようなことをしており、また数も無闇に増やしすぎているという声もある。音楽ゲーム自体だって「BEMANI」シリーズだけが全てではない。

 ともなれば「BEMANI」シリーズそのものをあまりよく思っていないユーザーだって至極当然にいる。中には「BEMANI」シリーズのファンユーザーでありながらも、新作を快く思わないユーザーもいるだろう。

 数が多いということは、何処かで贔屓目に見られることもある。あの機種は優遇されているのに、この機種は不遇だ。そんな目線で見られると、数が増やされるということは、他が割を食うのでは、と危惧する。そういうヘイトの矛先にもなりうるわけだ。

 少し前にも記述したが「BEMANI」シリーズには、BEMANI生放送というラジオ番組があり、そこでは視聴者がコメントを投稿できる仕組みになっている。他にも「BEMANI」シリーズ各機種にはTwitterのアカウントもある。

 ソレを全ての声とするのは早計だが、不評は実に明瞭に目に映る。その中の実際の話として、MÚSECAもタイトルが正式に発表される前に既に不評の声が上がっていた

 まだどんなゲームかさえも分かっていないのにもかかわらず、人は不満の言葉を述べられる。そのゲーム単体としてではなく、それまでのイメージをも引き継いでいる。

 MÚSECAというゲームが如何に良くなっていこうとも、MÚSECAを取り巻く環境そのものに暗雲が立ち込めているのなら、日の目を見ることもまた難しいように思う。
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